横浜地方裁判所 昭和60年(わ)2365号・昭60年(わ)3926号・昭61年(わ)340号・昭61年(わ)874号・昭61年(わ)883号 判決
右の者に対する相続税法違反、所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官寺西賢二出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告人を
判示第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪について懲役一年に、
判示第五、第六の各罪について懲役二年に処する。
未決勾留日数中八〇日を右判示第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪の刑に算入する。
訴訟費用中、証人矢部文雄、同佐藤邦郎に支給した分はその全部を、証人磯崎一良、同遠藤守に支給した分はその各二分の一を被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、
第一(塚越治義関係)
庄司孝英、俵利美、新開一史、塚越治義と共謀のうえ、右塚越治義の実父塚越正治の死亡により同人の財産を相続した右塚越治義の相続税について、架空保証債務を計上して課税価格を減少させる方法により、また、右塚越治義が昭和五八年中に所有地を売却したことによる同人の同年分の長期譲渡所得税について、架空保証債務を計上する方法により、それぞれ右相続税及び所得税を免れようと企て、
一 昭和五八年五月二〇日、神奈川県藤沢市朝日町一番地の一一所在の所轄藤沢税務署において、同税務署長に対し、被相続人塚越正治の死亡により同人の財産を相続した右塚越治義の正規の相続税課税価格は四億一九二〇万九〇〇〇円であったのにかかわらず、被相続人塚越正治には、右庄司孝英に対する四億円の保証債務があり、これを右塚越治義において負担することが確定したので、取得財産の価額からこれを控除すると同人の相続税課税価格は四二三九万八〇〇〇円で、遺産にかかる基礎控除額を控除すると納付すべき相続税はない旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同人の正規の相続税額一億七二二万二九〇〇円の全額を免れ、
二 右塚越治義に架空の手形保証債務を計上するとともに、同人において、昭和五八年中に右債務を履行するため同人所有の土地を譲渡し、その履行に伴う求償権の全部を行使することができなくなったかのように仮装するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和五八年分の同人の実際総所得金額が四七四万七〇六七円、分離課税による長期譲渡所得金額が八三八六万一三三五円であったのにかかわらず、昭和五九年三月一三日、前記の所轄藤沢税務署において、同税務署長に対し、同人の総所得金額が四七四万七〇六七円で、これに対する所得税額は所得控除をして算出すると三九万五四〇〇円であり、分離課税による長期譲渡所得金額は、所得税法六四条二項の規定によって零となり、これに対する所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同人の昭和五八年分の正規の所得税額二一五四万二一〇〇円と右申告税額との差額二一一四万六七〇〇円を免れ、
第二(矢部一夫関係)
庄司孝英、俵利美、新開一史、塚越治義、矢部一夫と共謀のうえ、右矢部一夫の実父矢部勝由の死亡により同人の財産を相続した右矢部一夫の相続税について、架空保証債務を計上して課税価格を減少させる方法により、また、同人が昭和五八年中に所有地を売却したことによる同人の同年分の長期譲渡所得税について、架空保証債務を計上する方法により、それぞれ右相続税及び所得税を免れようと企て、
一 昭和五八年九月二二日、同市朝日町一番地の一一所在の所轄藤沢税務署において、同税務署長に対し、被相続人矢部勝由の死亡により同人の財産を相続した相続人全員分の正規の相続税課税価格は三億二五四五万五〇〇〇円で、このうち右矢部一夫の正規の課税価格は二億三七五七万四〇〇〇円であったのにかかわらず、被相続人矢部勝由には右庄司孝英に対する二億九八〇〇万円の保証債務があり、そのうち二億八八〇二万九一五一円を右矢部一夫において負担することが確定したので、取得財産の価額からこれを控除すると同人の相続税課税価格は零で、納付すべき相続税はない旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同人の正規の相続税額六五七七万六三〇〇円の全額を免れ、
二 右矢部一夫に架空の連帯保証債務を計上するとともに、同人において、昭和五八年中に右債務を履行するため同人の所有の土地を譲渡し、その履行に伴う求償権の全部を行使することができなくなったかのように仮装するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和五八年分の同人の実際総所得金額が四八二万四二五九円、分離課税による長期譲渡所得金額が二億一六四五万一八〇〇円であったのにかかわらず、昭和五九年三月一三日、前記の所轄藤沢税務署において、同税務署長に対し、右矢部一夫の総所得金額が六八二万五四八四円で、これに対する所得税額は所得控除をして算出すると、八九万六四〇〇円であり、分離課税による長期譲渡所得金額は、所得税法六四条二項の規定によって零となり、これに対する所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同人の昭和五八年分の正規の所得税額六八六〇万二八〇〇円と右申告税額との差額六七七〇万六四〇〇円を免れ、
第三(井山正一関係)
庄司孝英、俵利美、新開一史、二宮啓、金田こと金義信、井山健一、井山一男、井山正一と共謀のうえ、右井山正一が相続税申告の代理人をしていた、井山くの死亡により同人の財産を相続した井山ハル、井山和栄、井山剛之の各相続税について架空保証債務を計上して課税価格を減少させる方法により、右相続税を免れようと企て、昭和五九年四月二日、埼玉県浦和市常盤四丁目一一番一九号所在の所轄浦和税務署において、同税務署長に対し、被相続人井山くの死亡により同人の財産を相続した右井山ハル、井山和栄、井山剛之の正規の相続税課税価格は、別表(一)「正規の相続税課税価格」欄記載のとおり、合計六億六一五八万四〇〇〇円であったのにかかわらず、右井山くには宍戸三男に対する四億八〇〇〇万円の保証債務があり、これを右井山ハル、井山和栄、井山剛之において、右別表「保証債務額」欄記載のとおり、それぞれ負担することが確定したので、それぞれの取得財産の価額からこれを控除すると、右井山ハル、井山和栄、井山剛之の相続税課税価格は、右別表「申告相続税課税価格」欄記載のとおり、合計一億八三七五万八〇〇〇円で、それぞれ遺産にかかる基礎控除額を控除して算出すると、右井山ハル、井山和栄、井山剛之の相続税額は、右別表「申告相続税額」欄記載のとおり、合計五四一五万九六〇〇円である旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右別表「正規の相続税額」欄記載の右井山ハル、井山和栄、井山剛之の正規の相続税額合計二億六〇七七万七一〇〇円と右申告税額合計との差額二億六六一万七五〇〇円を免れ、
第四(飯田嘉翁関係)
二宮啓、金義信、中村晃三、飯田嘉翁と共謀のうえ、飯田嘉翁の実父飯田一彦の死亡により同人の財産を相続した飯田嘉翁及び飯田嘉翁が相続税申告の代理人をしていた共同相続人の飯田悦子、飯田玲子の各相続税について、架空未払金を計上して課税価格を減少させる方法により、右相続税を免れようと企て、昭和五九年八月二三日、同市常盤四丁目一一番一九号所在の所轄浦和税務署において、同税務署長に対し、被相続人飯田一彦の死亡により同人の財産を相続した右飯田悦子、飯田嘉翁、飯田玲子の正規の相続税課税価格は、別表(二)「正規の相続税課税価格」欄記載のとおり、合計一七億一四五〇万九〇〇〇円であったにもかかわらず、右飯田一彦には高畠玉枝に対して一三億九〇九四万円の未払債務があり、これを右飯田悦子、飯田嘉翁、飯田玲子において、右別表「債務額」欄記載のとおり、それぞれ負担することが確定したので、それぞれの取得財産の価額からこれを控除すると、右飯田悦子、飯田嘉翁、飯田玲子の相続税課税価格は、右別表「申告相続税課税価格」欄記載のとおり、合計四億三九一二万円四〇〇〇円で、それぞれ遺産にかかる基礎控除額を控除して算出すると、右飯田悦子、飯田嘉翁、飯田玲子の相続税額は、右別表「申告相続税額」欄記載のとおり、合計五七六七万八〇〇〇円である旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右別表「正規の相続税額」欄記載の右飯田悦子、飯田嘉翁、飯田玲子の正規の相続税額合計四億九二七〇万八七〇〇円と右三名の右申告税額合計との差額四億三五〇三万七〇〇円を免れ、
第五(福田一雄・まき子関係)
俵利美、二宮啓、福田一雄、福田まき子と共謀のうえ、右福田一雄の実父で、かつ、右福田まき子の養父である福田精一の死亡により同人の財産を相続した右福田一雄、福田まき子の各相続税について、架空債務を計上して課税価格を減少させる方法により、右相続税を免れようと企て、昭和六〇年五月二二日、東京都足立区栗原三丁目一〇番六号所在の所轄西新井税務署において、同税務署長に対し、被相続人福田精一の死亡により同人の財産を相続した右福田一雄、福田まき子の正規の相続税課税価格は、別表(三)「正規の相続税課税価格」欄記載のとおり、合計八億九八五五万九〇〇〇円であったのにかかわらず、右福田精一には川野栄子に対する四億五五〇〇万円の債務があり、これを右福田一雄、福田まき子において、右別表「債務額」欄記載のとおり、それぞれ負担することが確定したので、それぞれの取得財産の価額からこれを控除すると、右福田一雄、福田まき子の相続税課税価格は、右別表「申告相続税課税価格」欄記載のとおり、合計四億五〇三八万七〇〇〇円でそれぞれ遺産にかかる基礎控除額を控除して算出すると、右福田一雄、福田まき子の相続税額は、右別表「申告相続税額」欄記載のとおり、合計一億八五二二万二〇〇〇円である旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右別表「正規の相続税額」欄記載の右福田一雄、福田まき子の正規の相続税額合計四億七五九六万六八〇〇円と右申告税額合計との差額二億九〇七四万四八〇〇円を免れ、
第六(矢部重雄関係)
俵利美、二宮啓、矢部重雄と共謀のうえ、右矢部重雄の実父矢部和太郎の死亡により同人の財産を相続した右矢部重雄の相続税について、架空債務を計上して課税価格を減少させる等の方法により、右相続税を免れようと企て、昭和六〇年六月二〇日、東京都葛飾区立石六丁目一番三号所在の所轄葛飾税務署において、同税務署長に対し、右矢部重雄の正規の相続税課税価格は一一億三四七七万七〇〇〇円で相続人全員の正規の相続税課税価格総額に占める割合は約〇・七であったのにかかわらず、右矢部和太郎には甘利宇洲根に対する三億円の債務があり、これを右矢部重雄において全額負担することが確定したので、取得財産の価額からこれを控除すると、右矢部重雄の相続税課税価格総額は五億一五〇一万一〇〇〇円で、相続人全員の相続税課税価格総額に占める割合は約〇・三九にすぎず、遺産にかかる基礎控除額を控除して算出すると、右矢部重雄の相続税額は三億三六六万八八〇〇円である旨の虚偽の相続税申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右矢部重雄の正規の相続税額六億九六九九万七三〇〇円と右申告税額との差額三億九三三二万八五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述(第五一回)
判示第一の一、二及び第二の一、二の各事実について
一 公判調書(第一回、第二四回)中の被告人の供述部分
一 被告人(昭和六〇年八月一三日付八枚綴りのもの、同月一九日付)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書中の分離前の共同被告人庄司孝英(第一回、第二二回、第二四回)、俵利美(第一回、第二四回)、新開一史(第一回)、塚越治義(第一回、第二八回、第三〇回)の各供述部分
一 証人庄司孝英、同俵利美(昭和六二年一〇月一五日付)に対する受命裁判官の各尋問調書
一俵利美(昭和六〇年八月一五日付)、新開一史(同年八月九日付)の検察官に対する各供述調書
一 加藤孝の検察官に対する供述調書
判示第一の一、二の各事実について
一俵利美(同年八月一一日付二七枚綴のもの)、塚越治義(同年八月八日付、同月九日付、同月一五日付二通)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書中の証人遠藤守の供述部分
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則嫌疑者塚越治義のもの)
判示第一の一の事実について
一 被告人(同年八月九日付、同月一三日付六枚綴のもの)の検察官に対する各供述調書
一俵利美(同年八月九日付、同月一〇日付、同月一一日付二〇枚綴りのもの)、新開一史(同年八月一〇日付、同月一一日付二通)、塚越治義(同年八月一〇日付)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書中の証人磯崎一良の供述部分
一 塚越正義、中西光枝、塚越幸平、浅場町子、高橋百合子、塚越通、宮﨑礼子、矢部マツ子(同年八月一四日付)、塚越ミエ子、塚越伸子、松原義貫、矢部一夫(同年八月一三日付一四枚綴のもの)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成(塚越治義の相続税の関するもの)の保証債務調査書、土地家屋調査書、代償分割調査書、借入金調査書、預貯金調書書、出資金調査書、公租公課調査書
一 押収してある相続税の申告書一袋(昭和六〇年押第七二六号の二)
判示第一の二の事実について
一 被告人(同年八月一三日付一九枚綴のもの)の検察官に対する供述調書
一俵利美(同年八月一三日付)、新開一史(同年八月一二日付二五枚綴のもの)、塚越治義(同年八月一三日付、同月一七日付四枚綴のもの)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成(塚越治義の所得税に関するもの)の求償権の行使不能額調査書、特別控除額調査書、不動産収入調査書、租税公課調査書、減価償却費調査書、申告経費調査書
一 押収してある五八年分の所得税の確定申告書一袋(同号の一)
判示第二の一、二の各事実について
一 公判調書(第一回、第二七回、第二八回)中の分離前の共同被告人矢部一夫の各供述部分
一 塚越治義(同年八月一七日付五枚綴りのもの)、矢部一夫(同年八月一〇日付、同月一五日付二通、同月一九日付二通)の検察官に対する各供述調書
一 矢部マツ子(同年八月一七日付)の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則嫌疑者矢部一夫のもの)
判示第二の一の事実について
一 被告人(同年八月一一日付、同月一三日付六枚綴りのもの)の検察官に対する各供述調書
一俵利美(同年八月一二日付)、新開一史(同年八月一二日付五九枚綴りのもの)、塚越治義(同年八月一二日付)、矢部一夫(同年八月一二日付)の検察官に対する各供述調書
一 松原義貫、矢部慶三(二通)、矢部トキ子、西山セツ子、矢部光男、矢部勤、矢部恒夫の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成(矢部一夫の相続税に関するもの)の保証債務調査書、土地家屋調査書、公租公課調査書、貸家預り金調査書、現金調査書、預貯金調査書、長期前払保険料調査書
一 押収してある相続税の申告書一袋(同号の四)
判示第二の二の事実について
一 被告人(同年八月一三日付一九枚綴のもの)の検察官に対する供述調書
一俵利美(同年八月一三日付)、新開一史(同年八月一二日付二五枚綴のもの)、塚越治義(同年八月一三日付、同月一七日付四枚綴のもの)、矢部一夫(同年八月一三日付七八枚綴のもの)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成(矢部一夫の所得税に関するもの)の譲渡費用調査書、求償権の行使不能額調査書、特別控除額調査書、不動産収入調査書、固定資産税調査書、損害保険料調査書、修繕費調査書、減価償却費調査書、雑費調査書、申告経費調査書、給付補填備金調査書
一 押収してある五八年分の所得税の確定申告書一袋(同号の三)
判示第三の事実について
一 公判調書(第四回)中の被告人の供述部分
一 被告人の当公判廷における供述(第四七回)
一 被告人(同年一二月二日付、同月九日付二通)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書(第四回)中の分離前の共同被告人庄司孝英、俵利美、新開一史、金義信、二宮啓、井山健一、井山一男、井山正一の各供述部分
一 公判調書(第三四回)中の分離前の共同被告人二宮啓の供述部分
一 分離前の共同被告人二宮啓の当公判廷における供述(第三六回、第四七回)
一 公判調書中の証人井山健一、同井山一男、同井山正一、同金義信の各供述部分
一 証人庄司孝英、同俵利美(昭和六二年一〇月一五日付)に対する受命裁判官の各尋問調書
一 庄司孝英(昭和六〇年一二月一一日付、同月一四日付、同月一七日付、同月二一日付)、俵利美(同年一二月一二日付)、新開一史(同年一二月一一日付、同月一二日付)、金義信(同年一二月六日付)、二宮啓(同年一二月六日付)、井山健一(同年一二月六日付、同月一三日付、同月二〇日付)、井山一男(同年一二月六日付、同月一四日付、同月一九日付、同月二一日付五枚綴のもの)、井山正一(同年一二月六日付、同月一二日付、同月一三日付、同月一七日付、同月二一日付)の検察官に対する各供述調書
一 井山和栄の検察官に対する供述調書
一 井山和栄、井山ハル、井山剛之、近藤う、安西ケイの大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成(井山和栄らの相続税に関するもの)の保証債務調査書、有価証券調査書、未収地代調査書、土地調査書、公租公課調査書
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則けん疑者井山和栄のもの)
一 押収してある相続税の申告書綴一綴(同号の五)、相続税の申告関係書綴一綴(同号の六)、遺産分割協議書・領収証綴一綴(同号の七)
判示第四の事実について
一 公判調書(第六回)中の被告人の供述部分
一 被告人の当公判廷における供述(第三九回、第四七回)
一 被告人(同年一二月一五日付五六枚綴りのも、同日付八枚綴りのもの、昭和六一年二月七日付)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書(第六回)中の分離前の共同被告人金義信、二宮啓、中村晃三、飯田嘉翁の各供述部分
一 公判調書(第三四回)中の分離前の共同被告人二宮啓の供述部分
一 分離前の共同被告人二宮啓の当公判廷にけおる供述(第三六回、第四七回)
一 公判調書中の証人金義信の供述部分
一 中村晃三(同年一月二七日付)、飯田嘉翁(五通)の検察官に対する各供述調書
一 飯田悦子、飯田玲子、唐沢郁也、高畠玉枝の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成(飯田嘉翁らの相続税に関するもの)の未払金調査書、預金調査書、生命保険契約の権利調査書、損害保険契約の権利調査書、預り金調査書、申告調整金調査書
一 飯田嘉翁作成の提出書
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則けん疑者飯田嘉翁のもの・昭和六〇年八月二三日付)
一 押収してある相続税の申告書綴二綴(同号の八、九)、相続税の修正申告書綴一綴(同号の一〇)
判示第五の事実について
一 公判調書(第七回)中の被告人の供述部分
一 被告人の当公判廷における供述(第四一回、第四七回)
一 被告人(昭和六〇年一二月一五日付二三枚綴りのもの)の検察官に対する供述調書
一 公判調書(第七回)中の分離前の共同被告人二宮啓、俵利美、福田一雄、福田まき子の各供述部分
一 分離前の共同被告人二宮啓の当公判廷にける供述(第四一回、第四七回)
一 証人俵利美に対する受命裁判官の尋問調書(昭和六二年一〇月一五日付)
一 二宮啓(昭和六一年二月二一日付三枚綴りのもの)、俵利美(昭和六〇年一二月一六日付九枚綴りのもの)、福田一雄、福田まき子の検察官に対する各供述調書
一 福田一雄の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 公判調書中の証人国武昇の供述部分
一 国武昇(不同意部分を除く)、福島修一(謄本)、清水俊彦(謄本)の検察官に対する各供述調書
一 山崎恭子、大盛英信、萩原一善、川野栄子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 東京都足立区長作成の戸籍謄本(福田精一の戸籍)
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則嫌疑者福田一雄のもの・記録第三三号)
一 大蔵事務官作成(福田一雄らの相続税に関するもの)の借入金調査書、未払金調査書、未払利息調査書、預り敷金調査書、土地調査書、家屋調査書、現金調査書、普通預金調査書、定期預金調査書、出資金調査書、家庭用財産調査書、その他の財産調査書、代償分割(未払金)調査書、代償分割(未収金)調査書、公租公課調査書、葬式費用調査書
一 押収してある相続税の申告書綴二綴(同号の一一、一二)、相続税の申告書控一綴(同号の一三)
判示第六の事実について
一 公判調書(第七回)中の被告人の供述部分
一 被告人の当公判廷における供述(第四四回、第四七回)
一 被告人(同年一二月一五日付三六枚綴りのもの、昭和六一年二月一九日付、同年三月六日付二通)の検察官に対する各供述調書
一 公判調書(第七回)中の分離前の共同被告人二宮啓、俵利美、矢部重雄の各供述部分
一 分離前の共同被告人二宮啓の当公判廷における供述(第四四回、第四七回)
一 証人俵利美に対する受命裁判官の尋問調書(昭和六二年一〇月一五日付)
一俵利美(昭和六〇年一二月一六日付二九枚綴りのもの、昭和六一年三月六日付)、矢部重雄の検察官に対する各供述調書
一 矢部重雄の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 公判調書中の証人矢部文雄、同佐藤邦郎の各供述部分
一 矢部文雄(不同意部分を除く)、清水俊彦、福島修一の検察官に対する各供述調書
一 矢部ちよ(二通)、鈴木静子、岩城守一(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 東京都葛飾区長作成の戸籍謄本(矢部和太郎の戸籍)
一 大蔵事務官作成(矢部重雄の相続税に関するもの)の土地調査書(二通)、建物調査書、預貯金調査書、出資金調査書、建物更生共済積立金調査書、未払金調査書(二通)、預り金調査書、租税公課調査書
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(犯則嫌疑者矢部重雄のもの・記録第四三号)
一 押収してある相続税の申告書控一綴(同号の一四)、相続税の申告書綴一綴(同号の一五)、遺産分割協議書写一冊(同号の一六)、預金通帳一冊(同号の一七)
(確定裁判)
被告人は、昭和六〇年三月七日岡山地方裁判所で詐欺罪により懲役二年(執行猶予三年)に処せられ、右裁判は、同月二三日確定したものであって、この事実は、検察事務官作成の被告人に対する前科調書によって認める。
(法令の適用)
被告人の判示第一の一、第二の一、第三、第四、第五、第六の各所為はいずれも刑法六五条一項、六〇条、相続税法六八条一項(判示第三、第四の各所為についてさらに同法七一条一項)に、判示第一の二、第二の二の各所為はいずれも刑法六五条一項、六〇条、所得税法二三八条一項にそれぞれ該当する。
判定第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪と前記確定裁判のあった詐欺罪とは刑法四五条後段の併合罪であるから、同法五〇条によりまだ裁判を経ていない判示第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪についてさらに処断することとし、右各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第四の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で、被告人を懲役一年に処する。
次に、判示第五、第六の各罪について、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、犯情の重い判示第六の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で、被告人を懲役二年に処する。
同法二一条を適用して未決勾留日数中八〇日を右判示第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪の刑に算入し、訴訟費用のうち、証人磯崎一良、同遠藤守に支給した分の各二分の一、証人矢部文雄、同佐藤邦郎に支給した分の全部を刑事訴訟法一八一条一項本文によりこれを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
本件は、被告人が共犯者とともに敢行した巨額のいわゆる脱税請負事件であるが、その脱税請負は合計八件、逋脱額にして一五億八七五七万円余にのぼり、逋脱率は最高一〇〇パーセント、平均約七三パーセントであって、非常に規模の大きい脱税事犯といわねばならない。被告人は、高額な税金の納付義務者の納税に介入して多額の謝礼を得ようと企て、脱税の方法については、被告人が税務署職員と接触する中で指示や暗示を受けたものを本件において悪用したものであって、共犯者である庄司、二宮らの探してきた高額な納税義務者の納税申告に関して、共犯者である俵税理士らを使って架空債務を計上した申告書を作成させるなどの準備をし、納税義務者とともに所轄税務署に赴き、虚偽の申告をして税務署に申告を受理させ、納税義務者側から巨額の謝礼を受け取っていたもである。しかも、香川県内で同種の事件(納税に関し、納税義務者から金員を詐取したもの)に関与していたため、本件犯行のさなか、右俵税理士が身柄を拘束されたことがあったにもかかわらず、本件第四の犯行を続行したもであり、更に、被告人自身も昭和六〇年三月、執行猶予付の懲役判決を受けたのであるがなお本件第五、第六の犯行に及んだもので、被告人の反社会的性格は顕著であって、その態度は厳重な非難に値する。本件訴因に関する分全体で納税義務者側から合計約六億八〇〇〇万円の謝礼が支払われているが、分配先不明の分を除いて、被告人には約二億円が渡っており(納税義務者側から交付された金員の一部は第三者納税として使用されたものも窺われるが、起訴されていない所得税に関する謝礼として受け取った分で補填されている)、本件発覚後被告人は自分の取り分について一部を返済したのみである。以上の諸点を総合すると被告人の刑事責任は重大であるといわねばならない。
しかしながら、被告人が法廷において反省の態度を示していること、未だ返済していない謝礼について返済することを誓っていること、前記確定裁判が判示第一の一、二、第二の一、二、第三、第四の各罪と余罪の関係にあることなどの事情も認めることができ、これら被告人に有利に斟酌できる事情を考えあわせて、被告人を主文の各刑に処するを相当と思料した次第である。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上田耕生 裁判官 秋山敬 裁判官坂本宗一は転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官 上田耕生)
別表(一)
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別表
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別表(三)
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